SylfeedというiPhoneアプリをリリースして丸一年。2011年は本当にいろいろなことがありました。
これまでSylfeedを応援していただいた皆さまに感謝の意を込めて、Sylfeedの2011年の軌跡を振り返ってみたいと思います。
普段ブログなど書かない人間が一年分をまとめたエントリーとなっておりますので無駄に長いですが、よろしければお付き合いください。
2011年の軌跡と言いながらも、話は少し遡ったところから始まります。
2010年12月
12月1日。Sylfeedをリリース。
初日の売上はわずか1本でしたが、それでもすごくうれしかったです。どこのどなたか存じませんが、この場を借りてお礼を申し上げさせていただきます。ありがとうございました。
今思えば、いきなり他のアプリと同じ350円という価格で勝負を仕掛けたのは無謀でした。これは反省しています。
GACHANET » iPhoneアプリSylfeedリリース
12月10日。日本でもプロモコードが使えるようになりました。
AppBankの朝刊でプロモコード置き場ができたと聞いて、すぐに行動を開始しました。
[朝刊] iPhoneアプリのプロモコード置き場作りました。ご活用ください。
10個のコードはあっという間に完売。この日からプロモコードを配る日々が続きます。毎回キャッチコピーを変えながらコードを配るその姿はまるでチケットを手売りする若手芸人のようです。
今となってはすっかり廃墟となってしまったプロモコード置き場ですが、今でもその歴史を見ることができます。よかったら覗いてみてください。
2011年1月
1月5日。バージョン1.1リリース。
GACHANET » Sylfeedバージョン1.1リリース
1月26日。バージョン1.2リリース。
マイナーアップデートとはいえ、今となっては信じられないスピードです。この頃は振り返ることなくまっすぐ前だけを見ていました。
GACHANET » Sylfeedバージョン1.2リリース
2011年2月
2月27日。100ダウンロード達成。
もちろん一日ではありません。累計です。私が賢明な開発者ならこの辺りで手を引いていたと思います。
2011年3月
3月9日。バージョン1.3リリース。
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3月10日。@amatanoyo さんのブログで紹介していただきました。ものすごく細かいところまで気づいてもらえたのがとてもうれしかったです。何の影響も受けずに自身でこのアプリのすべてを見抜いた彼の目は本物です。偉そうなことを言ってすみません。
RSSリーダーの新定番”Sylfeed” – fav Apple!
@amatanoyo さんにはその後もブログで紹介していただいたり、メールで改善点を指摘していただいたりで本当にお世話になっています。いつもありがとうございます。
3月11日。そう、忘れてはならないあの日がやってきました。
私自身は被災地から遠く離れたところにいたので被害はありませんでしたが、多くの命が失われていく瞬間を見るのはとても心が痛かったです。
毎日遠く離れた地で生活していると、ついつい忘れがちになってしまいますが、この日のことは決して忘れないようにしなければならないと、このエントリーを書きながら改めて強く思いました。言葉にすると軽々しくなってしまいますが、被災者の方々に少しでも幸せが訪れることを心から願っております。
2011年4月
4月13日。バージョン1.4リリース。
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4月19日。AppStoreのランキングアルゴリズム変更。
詳細は不明ながら、売上本数だけではなく利用頻度が反映されるようになったと伝えられました。実はこの仕様変更は売り出し中のアプリにとっては非常に厳しいものでした。なぜなら、少しばかり話題になってもなかなかランキングが上がらないだけでなく、明らかに売れていないであろうアプリのランキングが下がらなくなってしまったため、結果として一気にランキングが下がってしまい、そこから抜け出せない状況に陥ってしまいました。
そして、プロモコードを使ってダウンロードした場合は、AppStoreにレビューを書けないように規制がかけられると同時に、ランキングにも反映されなくなり、唯一の武器であったプロモコードがまったく使い物にならなくなってしまいました。
2011年5月
完全にランキングに埋もれてしまい、手の打ちようがない状態が続きました。この時の平均売上本数は一日ー本。一日一善なら気持ちよく眠れたかも知れませんが、この時は本当に眠れない日が続きました。
2011年6月
小規模なアップデートでは効果がないと判断し、じっくり時間をかけて大規模なアップデートを行うことにしました。あとで読む機能をメインに、テーマ機能によるデザインのカスタマイズで見た目を一新することにしました。特にあとで読む機能は時間をかけただけあって、Sylfeedの中核をなす最高レベルのものに仕上がったと思います。
2011年7月
7月14日。突然のAppleレート変更。
一夜にして350円のアプリが250円になりました。これはユーザーの皆さんにとってはうれしいニュースだったと思います。しかし、日本のアプリ開発者はこの知らせを受けて一気に青ざめたことでしょう。もちろん、今までのレートが異常に高かっただけで、いつかこうなることは想定すべきでだったかも知れませんが、それにしても衝撃的な出来事でした。
7月21日。バージョン2.0リリース。
初のメジャーアップデートです。Googleリーダーの軽量クライアントにはすでに横綱がいるわけで、今から同じ土俵に上がっても勝ち目がないのはわかっていました。これに対抗するにはまったく逆のコンセプトを持つアプリ、つまり多機能クライアントしかないと考えましたが、同じ価格ではどうしても採算が合いません。さらに当然と言えば当然ですがアプリの相場はどんどん下がっていく傾向にあります。実用系アプリは売ったら終わりというわけには行かないので、長期戦を覚悟する必要があります。今後のことを考えて機能を切り売りするアプリ内課金を導入しました。
GACHANET » Sylfeedバージョン2.0リリース
実はアプリ内課金を導入するかどうかは最後の最後まで悩みましたが、Appleのレートが変更されたことによって、これが間違いではなかったとすぐに確信することができました。
2011年8月
残念ながら満を持してのアップデートも効果なし。まったく売れない日が続きました。ここでいよいよ最後のカードを投入することにしました。
Appleレートの変更を除くと、リリース直後のホリデーシーズン以来の値下げを行いました。これまであまり値下げをしなかった理由は、定価で買っていただいた方に申し訳ないという想いが強くあったからです。しかし、このまま続くと開発の中止も検討しなければならないような状態だったので、心の中で「ごめんなさい」と叫びながら断腸の思いで値下げを行いました。結果としては、瞬間的に売上が伸びてランキングは上がりましたが、直接利益には繋がりませんでした。しかし、たくさんの人に知ってもらうことができたのでこれはこれで良かったと思っています。
そして、これを機に定価という概念そのものを捨てることにしました。
2011年9月
なぜ売れないか、それは皆さまからいただいたレビューを読めば明白でした。ここにきてようやく動作が重いという意見に真剣に耳を傾けるようになりました。
言い訳みたいになるのであまり言いたくないのですが、Sylfeedが重いのにはちゃんとした理由があります。それは、Sylfeedはゴールを決めていないということです。言い換えると、完成形をイメージしてそれに向けて設計をしているわけではないということです。そのため、Googleリーダーのデータモデルがありのままの姿(もちろん本物の中身は知りませんが)でアプリ内で再現されており、そしてそれはとても複雑であるため、動作速度においてはどうしても他のアプリに劣ってしまいます。その代わりにどんな風にでも化けることができるという特殊能力を得ることができるわけです。これが事実であることに間違いはありませんが、これを理由に仕方ないと諦めていた私にも甘えがあったことは事実です。一からすべてを見直して、徹底的な改善を行いました。たいへんな作業でしたが、そのおかげで劇的なまでに高速化することができました。
2011年10月
速くなっただけではやはりインパクトに欠けるので、新しいバージョンにはとびきりの新機能をつけようと思いました。それがWebページの先読み機能です。実はこの機能は、Sylfeedのコンセプトからは外れたもので、実装するつもりはまったくありませんでした。(わかる人にはわかると思いますが、この時点でオフラインで読むことができる別の仕組みがすでに用意されていました。)
Webページをまるごと保存するのはスタイルシートやスクリプトやらで結構面倒なのと、Webサイトごとに個別対応が必要な可能性がどうしてもあったので、今まで目を背けていたのもありますが、実際やってみると案外すんなりとできました。結果的には機能そのものよりもサイトごとの検証とパフォーマンスチューニングに時間がかかりました。何でもやってみないとわからないものですね。いい勉強になりました。
2011年11月
11月1日。Googleリーダーが仕様変更。
事前に告知されていたとは言え、何がどう変わるかまでは記されていなかったため、最悪の場合はアプリが動かなくなってしまう可能性もあり、ドキドキしながらこの日を迎えましたが、ふたを開けてみればアプリにはそれほど影響がないものでした。
Googleリーダーの新しい仕様というのは、共有機能とメモ機能が廃止されるというものでした。本家Googleリーダーでは、その代わりにGoogle+に共有できるようになりましたが、Google+のAPIは当時も今も公開されておらず、サードパーティのアプリは廃止された機能を削除するぐらいのことしかできませんでした。
しかし、この仕様変更が後にSylfeedの運命を大きく変えることになります。ここからSylfeedに奇跡が起こり始めます。
11月13日。始まりは @flavour47 さんのこのエントリーからでした。
Googleリーダーの共有機能がなくったことによって、はてブからEvernoteへの連携ができなくなってしまったのがきっかけで、AppStoreのランキングに埋もれていたSylfeedを見事に発掘してくれたのでした。
Googleリーダーの共有が無くてもはてブを付けて全文自動でEvernoteへ送る方法 | Evernote | Yu_notes.
11月14日。続いて、 @kuracyan (「さん」を付けると怒られるので省略)のエントリー。前日にRSSリーダーを変更したのを撤回しての乗り換え宣言は漢を感じさせます。@kuracyan とはその後も何度かTwitterでお話させてもらっていたのですが、その会話で得た情報をすぐさまブログにアップするというとんでもない芸当で私を驚かせてくれました。(お名前を間違えていたので訂正しました。たいへん失礼いたしました。)
一日にしてRSSリーダーアプリを変更した。 Singer Song iPhone
11月18日。さらにこの流れは、 @spring_friends さんに受け継がれます。
毎日使うアプリだからできるだけ手間がかからないようにという想いで作ったTwitterのテンプレート機能が、ここまで高く評価されるとは思ってもいませんでした。そして最後に記されたメッセージは、開発者である私の想いをしっかり受け止めてくれたのを感じさせてくれました。今まで自分がやってきたことが間違いではなかったと確信した瞬間です。
超多機能な国産のRSSリーダークライアント「Sylfeed」に惚れた7つの機能 + α | なまら春友流
11月19日。バージョン2.1リリース。
Sylfeedの最大の欠点であった動作速度を大幅に改善し、さらにWebページの先読み機能を搭載した渾身のアップデートです。これはまさに起死回生を賭けたアップデートでした。もしこれでダメだったらさすがに心が折れていたかも知れません。
実はこのバージョンは10月の終わり頃には完成していたのですが、iOS5でガイドラインが変更されたり、とある事情でリジェクトされたりでリリースまでとても時間がかかってしまいました。だけど、結果的にこれが最高のタイミングでのリリースに繋がりました。これはまさに奇跡としか言いようがありません。
GACHANET » Sylfeedバージョン2.1リリース
11月21日。極めつけは @hitoriblog さんのこのエントリー。
この界隈では知らぬものはいないであろうあの最強伝説を提唱者自らひっくり返すというセンセーショナルなエントリーでした。作者ですら持て余すぐらい多機能なこのアプリを要点を絞ってまとめるのはさすがとしか言いようがありません。タイトルも相当インパクトがありましたね。
iPhone用地下鉄通勤最強Google ReaderクライアントはBylineからSylfeedへ | ひとりぶろぐ
実際、この日の反響はものすごかったです。本当に目玉が飛び出るぐらいの売り上げを記録しました。AppStoreのランキングもみるみる駆け上がり、最高でなんと総合19位という信じられないところまで来ることができました。これも奇跡です。もちろん今となってはこれもいい思い出ですが…
11月24日。AppBank様で紹介していただきました。
AppBankにレビュー記事が掲載されるというのは、アプリ開発者としては一つの目標と言っていいと思います。その目標をリリース1年を目前にして達成することができました。記事を担当していただいた @spring_mao さんありがとうございました。
Sylfeed: かゆいところに手が届く上級者向けRSSリーダー!未読消化を超強力サポート。
11月27日。そしてトドメは @hiro45jp さんのエントリー。
iPhoneアプリのRSSリーダーを語らせれば右に出るものはいないというぐらいの大御所です。まさにラスボスの登場です。
Sylfeedを気に入っていただけたのはとても光栄ですが、それもそのはずです。なぜなら、私がこのアプリを開発するに当たって一番参考にさせていただいたのがこの「普通のサラリーマンのiPhone日記」なのですから。もちろん @hiro45jp さんのために作ったわけではありませんが、知らず知らずのうちに影響を受けていたのを改めて思い知らされました。お仕事が忙しい中、ご紹介いただき本当にありがとうございました。
My神アプリSylfeedの設定を公開しますヽ(´ー`)ノ | 普通のサラリーマンのiPhone日記
2011年12月
12月9日。AppBankのオフ会に参加しました。
人生初のオフ会でどうしていいかわからず緊張しまくりましたが、お酒の勢いを借りつつ、たくさんの方たちとお話することができました。
その中でもひときわ異彩を放っていたのが @RucKyGAMES さんでした。一言しかお話できませんでしたが、いい意味で裏切られました。さすがです。実は @RucKyGAMES さんのゲームはあまりプレイしたことはないのですが、この日からファンになってしまいました。ちなみにこれは完全に蛇足です。
アプリを宣伝するという目的があって参加したので、全員に名刺を配るぐらいの意気込みで臨みましたが、その名刺は今でも山ほど家にあることを付け加えておきます。
【大阪】12月9日(金) AppBank オフ会を開催。iPhone 好きの大忘年会だぁ!!
12月10日。その翌日、AppBankのプレゼン大会でSylfeedのプレゼンをさせていただきました。
なにせプログラマーという裏方の職業ですし、ここ二年ほど自宅に引きこもって開発をしていたのもあって、大勢の人の前でプレゼンなんて本当にできるのか不安でいっぱいでしたが、Sylfeedの存在を少しでも知ってもらうためにできることはすべてやろうと決意してのエントリーでした。
わずか6分という短い時間でしたが、何日もかけて資料を作り何度も練習を繰り返しました。結果は原稿を棒読みというプレゼンとしては最低レベルのものでしたが、なんとか緊張を抑え最後までやりきることができました。
その後の懇親会では同じくプレゼンに出演された開発者の方々とお話することができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。
実はこのプレゼンの募集があったのは11月の中旬、ブログで話題になる前のことでした。これが少しでもずれていたらプレゼンに出演することはなかったと思います。これもまた奇跡としかいいようがありません。
大阪の iOS アプリ開発者が大集合!!「 iPhone アプリプレゼン大会 」を開催しました。
そして、今年最後の出来事がコチラ。
[2011年]今年ボクがダウンロードした神アプリ達ベスト10 | iPhone | Yu_notes.
今年ポチった神アプリ達in2011 | masayan’s STYLE
今年ボクが立ち上げまくったiPhoneアプリ達ベスト10 | Feelingplace
今年お世話になったアプリたち(標準アプリ以外) | gakuhead blog
今年@hebyumetanが立ち上げまくったiPhoneアプリ達ベスト10 – @hebyumetan
2011年 これは落としてよかった!なiPhoneアプリ10選 〜有料アプリ編〜
こんなにたくさんの方たちに2011年のベストアプリに選んでいただきました。
皆さんに喜んでもらえるのが今の自分にとって一番幸せなことなんだと改めて気づかせてくれました。本当にありがとうございます。
ここでは紹介しきれませんでしたが、他にもたくさんのブログで紹介していただきました。この場を借りてお礼を申し上げさせていただきます。本当にありがとうございました。
そしてAppStoreにレビューを書いていただいた皆さま、本当にありがとうございました。星4つが多いのはまだまだいけると期待されているのだと勝手に思っております。(星5つ付けてくれたらもっとがんばります。)
ここまでが2011年のSylfeedの軌跡です。
ビジネスとしては残念ながら2011年も結果を出すことはできませんでしたが、希望の種はしっかりと芽を出してくれたのを感じることができました。
Sylfeedはこれからもまだまだ成長していきます。来年はパーッと花を咲かせてみたいと思いますので、これからも応援よろしくお願いいたします。
Sylfeed 2.1.1(¥170)
カテゴリ: ニュース, ソーシャルネットワーキング
販売元: GACHANET – GACHANET(サイズ: 2.1 MB)
全てのバージョンの評価: (206件の評価)
[…] 投稿日: 2012/01/01 作成者: kuracyan この記事に胸を熱くしました。 Sylfeedのキセキ « GACHANET 私が紹介するアプリは自分で使ったものだけです。 […]